性感染症とは

このページでは、淋菌性感染症について説明する前に、性感染症の全体的な説明をしておきたいと思います。
淋菌感染症を始めとする性感染症とはいったいどんなものか、全体のイメージをつかんでもらえたらと思います。

1.性感染症とは
一般には、性行為によって感染する病気の総称を性感染症と言います。中には性行為以外の感染ルートを合わせ持つ性感染症もありますが、主な感染ルートは性行為です。

2.性感染症という呼び方
現在では「性感染症」という呼び方をしますが、以前は「性病」という呼び方を使っていました。適応する法律も、かつては「性病予防法」でしたが、現在では「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」と言う長い名前の法律に変わりました。(感染症法と短縮して呼ばれることもあります。)

しかし、ネット上ではまだ「性病」と言う表現の方が多いように思います。

医学的には英語の頭文字をとって、STDとかSTIとか呼ばれることもあります。

●STD(Sexually Transmitted Disease)

●STI(Sexually Transmitted Infection)

3.性感染症の感染者数
性感染症の感染者数がどんなふうに推移しているのか、その動向はちゃんとチェックされています。HIVと梅毒の2つの感染症については全数報告といって、全国どこの医療機関で見つかったても7日以内に届け出ることが法律で義務づけられています。従って、HIVと梅毒については国内の新規感染者、患者数は全数把握されています。

一方、クラミジア感染症、淋菌感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、この4つの性感染症は定点報告によって感染動向をチェックしています。定点報告というのは、全国に970ヶ所ほど予め決められた指定医療機関があって、そこでこの4つの性感染症患者が見つかると報告されてるようになっています。

従って、HIVや梅毒のように、全ての患者を把握しているのではなく、あくまでも指定医療機関で診察を受けた患者のみ分かる仕組みになっています。いわば抜き取り検査で全体の動向を類推しているようなものです。

では、厚生労働省の1999年から2008年までの統計データから、それぞれの性感染症の大まかな動向をご紹介しましょう。

◇淋菌感染症
全体の感染者数は2002年をピークにここ数年は減少している。ただし、定点報告データだけで、本当に感染者が減っているのかどうか、断定はできないそうです。

また、淋菌感染症患者は20代、30代の男性に多く、女性の4倍もいます。この理由の1つに、男性の方が自覚症状がはっきりしており、感染すると検査や治療をうけやすい。その点女性は自覚症状が出にくく、感染したことに気が付かないケースも多い。

それで、女性は実際にはもっと感染者は多いのだけど表に数字として出ていないだけではないか、と言う説もあるようです。(性の健康医学財団 性感染症Q&A2008より)

◇HIV
すでにご存知かも知れませんが、年々HVI感染者、エイズ患者は増加傾向にあります。その上最近では保健所でHIV検査を受ける人の数が減っており、「いきなりエイズ」を発症する人が増えています。ここ数年は毎年年間で1,500人くらいが新規感染者として報告されています。ただし、実際には感染に気付いていないHIV感染者がこの何倍もいると言われています。

◇梅毒
淋病と並んで性病の大本命でした。かつては致死的疾患で多くの人が亡くなった梅毒も、今ではペニシリンなどの抗生物質によって完治出来るようになりました。年間に800人くらいの新規患者が報告されていますが、実際にはこの何倍も多くの感染者がいると見られています。

◇クラミジア感染症
国内に100万人以上の感染者がいると言われています。2002年をピークに減少傾向にありますが、それでもなお最も感染者の多い性感染症です。

◇尖圭コンジローマ
ここ数年はほぼ横ばい状態です。特に20代前半の若い女性に感染者が多くなっています。

◇性器ヘルペス
2006年をピークに男女とも感染者数は減少傾向にあります。

4.性感染症の病原体
性感染症の病原体は大きく分類すると、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、寄生虫/原虫、この4つになります。
それぞれ代表的な性感染症としては、

●ウイルス・・・HIV、B型肝炎、尖圭コンジローマなどがあります。

●細菌・・・クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒などがあります。

●真菌・・・性器カンジダ症

●寄生虫/原虫・・・トリコモナス症、ケジラミ症、疥癬などがあります。

4.性感染症の感染ルート
文字通り、主な感染ルートは性行為による感染です。これ以外には、母子感染、血液感染といったルートもあります。
しかし、感染者数から言えば、圧倒的に性行為による感染が多くなっています。

性感染症の病原体は、感染者の体液に含まれています。体液とは、精液、膣液、血液などを言います。この体液が
相手の粘膜を通過して感染します。粘膜の場所としては、陰茎、膣、肛門、尿路などがあります。あるいは、喉や目に
感染することもあります。

正常な人の皮膚を通して性感染症が感染することはありません。ただし、皮膚に傷や潰瘍があると、そこから感染する
ことはあります。

5.検査や治療
性感染症の検査には、血液検査や尿検査、分泌物検査などがあります。病原体そのものを見つける検査と、病原菌が感染することによって生まれる抗体を見つける検査もあります。

ほとんどの性感染症は早期に見つかればいい薬が開発されていて完治できます。ただ、HIVは未だにいったん感染するとそれを完全除去することはできず完治しません。しかし、かつての致死的疾患からエイズ発症を抑える(遅らせる)ことはできるようになり、死亡者は激減しました。

性感染症は何といっても早期発見に尽きます。

6.性感染症で注意すべき点
性感染症が怖いのは、感染初期に自覚症状がない病気が多くあることです。自分では気が付かないうちに、誰かにまたうつしてしまう二次感染が起きたり、本人も感染がどんどん進行し重症化する危険があります。

その典型はHIV感染です。自分の感染に気が付かなければ非常に高い確率でエイズを発症します。手遅れにならないためには早期発見、それには検査です。

HIV以外の性感染症も発見が遅いと死までは至らなくても重大な障害を引き起こすことがあります。自覚症状がなくても感染の可能性に心当たりがあれば、まずは検査を受けることをお勧めします。

それにもうひとつ注意すべき点は、性感染症の重複感染です。例えばHIV感染者が梅毒にも感染していると、梅毒の進行が速くなったり、重症化することがあります。検査を受けるときには重複感染の検査を受ける方が安心できます。

また、クラミジア感染症、性器ヘルペス、淋菌感染症などは、感染しているとHIV感染のリスクも高くなります。やはり何といっても一番怖いのはHIVとの重複感染です。HIV感染予防の観点からも早期に検査を受ける必要があります。
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